17世紀から19世紀にかけて、世界を股にかけた英国海軍。彼ら船乗りは、ラムを愛飲していました。
18世紀に入ると、正式に国からの官給品として認められた程です。
賢い指揮官はいつの世にも存在するもので、エドワード・バーノン提督という人物がこのラムをそのまま配給するのではなく、水割りとして支給するよう指示を出しました。
この方法は実に効率の良いやり方といえます。
アルコード濃度が高いラムをコンパクトに貯蔵し、飲む際に水で割れば増量できたのですから。
実はこうした発想は現在にも生かされています。
私達の身の回りにあるジュースなどに「濃縮還元」の文字を目にすることがあります。液体は、かさばり重量もあるため保存や運搬にコストがかかります。濃縮し、容積を圧縮することでこれらの問題を解決し、飲用に用いる寸前で「還元」、つまり、水で割る、という発想です。
提督の優れた発想でしたが、水割りの薄いラムを好まない軍人も多くいたようです。考案したバーノン提督がグログラン生地でできたマントを愛用していた事から悔蔑の意味をこめてこの薄いラムを「グロック」と呼びました。
こうした「グロック」でも、程々にたしなめば、長い航海の気分転換にもなり食欲を増進させ、狭い空間での人々の空気をやわらかくまとめる効果もあります。
しかし、往々にしてグロックの飲み過ぎで、足腰も立たなくなってしまう英国海軍軍人も存在しました。
時代が変わっても、人はそれほど変わらないのかもしれません。
この情けない状態は、こう呼ばれる事になります。
すなわち、「グロッキー」。
くれぐれも、お酒は程々に。
変わりゆくもの 決して変わらないもの
多くの物を消費し
様々な経験をした後
ついにたどり着く価値観
トレンドや気分次第で揺らぐ嗜好を越えて
変わりゆくもの 決して変わらないもの
ナイジェル・ケーボン
本物を求め続ける すべての男達のために
Nigel Cabourn(ナイジェルケーボン)10SS
1月中旬スタート。